箱庭的世界 >> 京都単独煩悩紀行 >> 花の命は長持ちで・第2日目-3

 ●立本寺

京都最初の日蓮宗道場として日像上人が開いた妙顕寺がもとである。妙本寺(妙顕寺から一時改称)が比叡山衆徒に破却されたのち、旧地に応永23年(1416)日実上人が本応寺を開いたが、その後、妙本寺も再建されて対立。本応寺は分立して比叡山の末寺となり立本寺と改称した。天文法華の乱・秀吉の命・大火などで数度再興移転したのち現在地に落ち着いた。広大な境内に20の塔頭を有したが、明治維新後に衰退。
豪商・灰屋紹益の墓がある。

立本寺は観光名所ではないが、蓮や桜を密かに楽しめる寺として最近よく噂を聞くようになったので、今回来てみることにしたのである。
街なかとは言え最寄りのバス停からは距離があり、やや歩かねばならない。黄砂が吹き荒れる悪条件のもと、たどり着いた門前は満開の桜で飾られていた。(↑写真の色合いが不気味なのが悔しい。)

門をくぐると児童公園、その奥も一部駐車場と化していたりして人の行き来が多く、かなり開けた寺のようである。開けすぎなんじゃないかと思いつつ進むと、刹堂鬼子母神堂)・祖師堂妙見堂などいくつかの渋く古めかしい堂宇が見えてきた。典型的な日蓮宗の伽藍様式だそうだ。

その堂宇を背景に、境内はたくさんの桜で覆われていた。思った以上の華やかさに喜んだのもつかの間、目に飛び込んできたのは、本堂前で大勢の人がお弁当を広げるなごやかな光景…。この砂嵐の中で花見の宴とは大胆な! よく見ると僧侶らしきかたが数人混ざっていらっしゃる。たぶん檀家さんの集まりなのだろう。

他にも周囲で遊ぶ地元の親子連れなどが多く、とても賑やかだ。一人で拝観に来ている自分が浮きまくっているのが身に染みる。仕方なく、のんびり花見をするのはあきらめて写真を撮り、そそくさと退散することにした。

あとで調べてみると境内は広大で、堂々とした本堂の後ろには廊下で繋がった客殿庭園があったのである。見落としてしまった…。
庭園は江戸末期の住職により作庭されたもので、池は無く築山が多く築かれた独特な意匠で貴重なものらしい。このたび復元工事が行われ、2006年秋に初の特別公開が行われた。本堂・客殿の内部と渡辺始興の「十六羅漢図」も併せて公開されたとのこと。
せめて庭園だけでもぜひ訪ねてみたいが、今後通常公開は無いのだろうか。


おまけ:千本中立売から立本寺へ向かう途中、中立売通り沿いにある愛染寺。枝垂れ桜はまだ2〜3分咲き程度。→

おまけ2:次の平野神社へ向かう途中、北野天満宮前バス停手前の宥清寺にちょこっと寄ってみたので、ここも画像だけ置いておきますね。↓ (宥清寺の歴史は2004年春の項にあります)


▲門前のソメイヨシノ強風に舞う
▲たぶん刹堂(鬼子母神堂)
桜は満開ピーク〜散り始め

▲本堂(?)
●宥清寺の桜
▲本堂 ▲枝垂れ桜5分咲き程度 ▲ソメイヨシノ満開


 ●平野神社

(平野神社の歴史は2003年春の項にあります)

宥清寺から徒歩で充分行けるのだが、一日観光券もあることだし北野天満宮前バス停からバスに乗ることにした。
衣笠校前バス停で下車し、少し歩くと平野神社裏側の門に着く。こちら側の桜園はソメイヨシノ満開ピーク〜散り始めで、まだ日暮れ前だというのに露店と花見客の活気がすさまじい。香ばしい匂いと酔客の中をひたすら通り抜けて本殿へ向かった。


▲神門と魁桜

※黄砂のため画像がほんのり黄色いですがご容赦下さい。

平野神社は境内の約50種の桜が3月中旬から4月下旬まで次々と咲き続けるという素晴らしい桜名所なのである。少しづつ時期をずらして訪ねればその都度違った桜の姿が楽しめるのだ。というわけで私も今回で3回目の拝観になる。

本殿に向かって右側の紅枝垂れ桜を基準にしてみるとわかりやすいかも。2003年の拝観時は完全に蕾2004年は満開、そして今回は7〜8分咲き程度で見頃開始、新鮮な感じ。この枝垂れ桜は相変わらずすごい人気で、記念撮影の途切れる暇がない。

本殿前から拝殿周辺にはソメイヨシノ以外の品種の桜が並んでいる。特に(平野神社HPで)珍種十品種と呼ばれているのが魁、寝覚、胡蝶、嵐山、虎の尾、平野妹背、御衣黄、松月、手弱女、突葉根だそうである。確かここ平野神社で生まれた品種もあるはずだがどれだったっけ? 名前からして平野妹背はここがルーツと思われるが、その他はおいおい調べてみようと思う。
この時期はほぼソメイヨシノと同時期に咲く「寝覚」と「胡蝶」が見頃になっていた。白い一重の寝覚はスッキリ爽やか、胡蝶は白にほんのり淡いピンクで可憐なかんじだった。

神門を出たところの横にある枝垂れ桜は早咲きで有名な「魁桜」で、さすがに色抜け散り中だったが今年は随分長持ちしてくれたようだ。お疲れ様でした。その他鳥居付近の早咲きの枝垂れ桜もなんとかまだ見頃が続いているようだった。    


▲本殿と紅枝垂れ桜
▲本殿近くの「胡蝶」
▲神門裏側の「寝覚」

ここで日もだいぶ落ちてきたので本日の拝観は終了。夕食は以前雑誌で見た隠れ家的雰囲気の創作和食処「虎杖(いたどり)」へ行ってみた。
錦小路をちょっとはずれた情緒ある細長い路地の奥にその店はあった。ところが、最近になって有名ガイドブックで何度か紹介されたらしく、隠れ家的どころか高校生風カップルや若いサラリーマンで大繁盛だったのである。厨房も大忙しのようで、指示の声が飛び交い若い店員さんがテキパキとお盆を運んでゆく。店内は活気にあふれていた。私はいろいろな味が楽しめるおばんざいコースを頂いてそれなりに満足したけれど、何かが、何かが違うような気がしたひとときだった… ※イラストはイメージです

おまけ。食後には、以前から定評あるお茶系スイーツの噂を聞いていた烏丸三条東入の「京はやしや」へ行ってみた。抹茶パフェを頂いてみたが、他の人気店と違って混雑しない上にお味は全く遜色ない。というかむしろここのほうが美味なのでは!?  〈3日目につづく〉


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