箱庭的世界 >> 京都単独煩悩紀行 >> 悩ましき淡紅葉・第1日目-2

 ●宝筺院

白河天皇の勅願寺として建立された善入寺が前身。夢窓疎石の高弟である中興開山の黙庵が、当寺に帰依していた足利二代将軍・義詮の菩提寺とし、のちに寺名を義詮の院号である宝筐院に改めた。遺言により義詮墓所は敵方にあたる楠木正行墓所の隣に置かれている。
応仁の乱以降は衰退し幕末には廃寺となり墓所も不明になっていたが、明治中期〜大正期に正行の遺跡保護のため再興された。

ここはお行儀に厳しいことで有名である。きっとかつて傍若無人に振る舞ったカメラマンが居たのだろう。
常識的態度で拝観&スナップ撮影しているぶんには問題ないはずだが、厳しく書かれた注意書きを見るとやっぱりちょっとビビってしまう。でも逆に言えば、ここの紅葉は人心を惑わすような底力があるということに違いない。

自分はどうもいつもタイミングが悪いようで、日が沈むのが早い嵯峨野の事情を忘れていたり微妙に時季をはずしたりして、最高の状態を見たことがない。
今回もときおり日がさすものの、曇り空&夕方近い時間のため境内は薄暗くなりがちで写真がなかなか綺麗に撮れない。色付きもまだ熟しておらずオレンジのグラデーションが主のようだ。

苔・白砂・豊かな樹木で構成された回遊式枯山水庭園が一番の見どころで、直線的に伸びる細い参道の真ん中あたりに本堂、突き当たりに有名な足利義詮(よしあきら)楠木正行(まさつら)の墓がある。
楠木正行は四條畷の戦いにおいて南朝方として北朝・足利方の高師直(こうのもろなお)軍と戦い落命、正行が帰依していた黙庵がここ宝筺院の前身である善入寺に埋葬した。同じく黙庵に帰依していた足利義詮はこれを知って正行の忠心に感じ入り、自分の没後は正行の隣に埋葬するようにと遺言を残したという。
いきなり敵の足利将軍さんが自分の隣で眠ることになった小楠公(正行)はさぞ驚いたに違いない。

墓前の扉には両者の家紋が並んで刻まれていた。石灯籠に刻まれた冨岡鉄斎の書「精忠」と「砕徳」は、正行の優れた忠心と義詮の徳の大きさを讃えた言葉だそうだが、こちらはよく見なかった。
一つ気になったのは、宝筐院は楠木正行の遺跡保護・弔いのため再興されたという点である。義詮はほっといていいのか?


▲ちょっと薄暗い境内

▲本堂屋根と背の高い紅葉

で、次は嵯峨釈迦堂前から嵐山駅前までバスで戻る。平日のせいかさほど渋滞もなく到着。嵐山線に乗り鹿王院駅で下車して徒歩すぐの鹿王院を目指す。
が、その途中で通りかかる清涼寺の紅葉をオマケとして載せておきましょう。(今回は拝観はパスしたので)


●清涼寺の紅葉
▲山門 ▲一切経堂 ▲回廊


 ●鹿王院

京都十刹第五にあげられる名刹。足利三代将軍・義満が師にあたる春屋妙葩(普明国師)を開山として康歴2年(1380)延命祈願のため創建した宝幢寺がおこり。当時は大寺院であったが応仁の乱などで衰退し、開山堂の鹿王院のみが残った。堂宇の多くは江戸期再興時のもの。山門と客殿の扁額は義満の筆による。本堂には運慶作と伝わる釈迦如来・十大弟子像足利義満像などが、舎利殿には源実朝が宋から招来したという仏牙舎利が安置されている。

薄暗い参道入り口→ 
▲参道途中

▲参道、中門前

▲庭園のカエデ

鹿王院駅から少し歩くと、住宅街の中に「覚雄山」の扁額がかけられた山門が見つかった。門の奥に見える石畳の細長い参道は天候と時間帯のせいで薄暗くやや不気味…。残念、もっと明るい時に来ていれば。それでも見頃開始の紅葉や天台烏薬(てんだいうやく)という銘木に覆われた参道はおもむきがある。そしてとにかく観光シーズンとは思えない静けさで、さっきまで歩いていた嵯峨野の喧噪との違いがすごい。

庫裏で受付を済ませて客殿に上がると独特の景観が見えてきた。苔で覆われた枯山水庭園には、嵐山を背景に堂々とした舎利殿が建ち周囲には古木が植えられ、ただの枯山水ではないインパクトがある。というか「これも枯山水なのか〜」というかんじ。庭にはカエデは1本しか無いようだが、きれいな真っ赤に紅葉してアクセントになっていて見応えある。
たまにポツリポツリと入って来る拝観者が皆一様に「すいてて良いなぁ」「静かだねぇ」と呟くのでちょっと面白かった。

鹿王院という寺名は、開山堂を建てる際に裏の山だかヤブだかから鹿が現れたので付けられたらしい。住宅街の中とはいえ今でも鹿がひょっこり登場しても不思議でない雰囲気がある。
客殿から廊下で結ばれた本堂・舎利殿にも行ってみた。薄暗い堂内を一人きりで拝観するのは慣れているが、やはりちょっとビビりそうになる。こちらは早めに切り上げて庭のほうをもう少し鑑賞してから帰ることにした。

鹿王院で何故か思い出すのがご近所(嵐山のほうが近いけど)の臨川寺である。夢想国師ゆかりの名刹だが、住職が亡くなられて以降拝観停止になってしまったらしい。行っておきたかった…(涙) 拝観再開の可能性はないのだろうか。


さてホテルでチェックインのあと、近頃凝っているベトナム料理の店を地図上で探して発見した『ラ・パパイヤベールへ行ってみた。小さな店内はアジアン家具が並ぶこじゃれた雰囲気で可愛らしい。しかし一人だとコース料理とかセットとかが頼めないのでちょっとガッカリ。で、量は多くなるけど牛肉のフォーと生春巻きを注文してみた。なかなかウマいのではないでしょうか。
ただ、フォーに入っていたのが薄切り肉でなく、挽肉をムニュッと握って塊にしたようなモノだったのでかなりビックリしました(^^;) しかも生春巻きのタレが塩辛い肉味噌だったのでちょっと不満。やはりピーナツの甘味噌ダレでなくては…  〈2日目につづく〉


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