箱庭的世界 >> 京都単独煩悩紀行 >> 極寒の春雨に煙る桜・第3日目-1
【4月6日・詳細行程表】
 京都駅
  ↓(JR東海道本線)   
 山科駅
  ↓(地下鉄東西線) 
 醍醐駅 
  ↓(徒歩) 
 醍醐寺
  ↓(徒歩)
 醍醐駅 
 ↓(地下鉄東西線) 
山科駅 
 ↓(JR東海道本線) 
京都駅
 ↓(タクシー)
東寺
 ↓(市バス)
京都駅


初日・2日目の天候が強烈だったためツアータイトルは「極寒の春雨」にしておきましたが、3日目は前日の予報通り腹の立つような快晴になりました。あまりにももったいないので急遽予定変更して、霊宝館の枝垂れ桜が素晴らしいという噂の醍醐寺に向かうことに。しかしTV放映後の日曜日ともなればどれほどの大群衆でごった返していることか…想像するのも恐ろしかったのですがそこは根性でカバーします。


 ●醍醐寺

貞観16年(874)弘法大師の孫弟子にあたる理源大師が、醍醐山上に草庵を結び観音像を安置したのがおこり。醍醐天皇の勅願寺となり上醍醐が整えられ、山下にも釈迦堂が建立されて下醍醐が開かれた。京都現存最古の建築である五重塔ほか多くの伽藍が建立されたが、応仁の乱などでほとんどを焼失。のちに秀吉の醍醐の花見が催され豊臣家の援助を受けて大きく復興した。
塔頭・三宝院の庭園は秀吉の設計と伝わる。

醍醐駅内はとにかく道案内がわかりにくいが、醍醐寺へは立派な団地を横断するのどかな道が続いている。
総門から仁王門へ続く桜の馬場と呼ばれる参道(写真一番上)は笑ってしまうほどの人波がひしめいていた。こんな大勢の人は久々に見たぞ! 三宝院受付もとんでもない状態になっていてとても並ぶ気にならず素通りし、先に霊宝館を見に行くことに。すると霊宝館受付ではあっという間に券を買えてしまった。共通券なのでこれで三宝院にも並ばずにすむわけだ。先ほどの行列の人々はなんと気の毒な…

霊宝館では醍醐寺展が催されていたがそれよりも見頃真っ盛りの枝垂れ桜(糸桜?)が大人気。数本あるうち一番奥の木が円山公園の枝垂れにもひけをとらない優雅な姿で、大勢の人が遠巻きに歓声を上げていた。枝垂れの最盛期は長く続かないという話を聞く。これも一つの縁、例え大混雑の中でもやはり見られる時に見ておくのが良いとしみじみ思った。
霊宝館内には、制作年代の違う大小の涅槃図や曼荼羅図各種(特に珍しい金属製の金銅両界曼荼羅)、牛に乗った大威徳明王像など興味深い展示品が多かったのだが、この日はせっかくの貴重な快晴なのでやはり桜メインで行かねば。というわけで長居はせずに三宝院へ向かってみた。

三宝院受付は相変わらずの混雑だったが、共通拝観券を持っている私は行列を素通りして苦もなく中へ。この落差は何だろう?高い拝観料を取っているのだから当局のかたはもうちょっと対策を(以下自粛)
門をくぐるとすぐここにも立派な枝垂れ桜が。大変見事な木なのだが弱っているらしく療養中とのことで根元を踏み固められないように保護されていた。ううむ、各地の枝垂れよ頑張れ!

久々に三宝院庭園も見て行くことにしたが、まるで最盛期のパンダ舎の前のような立ち止まらないで下さい状態。撮影禁止だしじっくり庭を観賞する間もない。
庭の中央奥にある四角い石は聚楽第から移したという藤戸石で、時の権力者に転々と引き継がれてきたものだとか。この豪華で美しい桃山式池泉庭園を秀吉が設計したというのは信用し難いが、当然本職の手が後を引き継いでいるのだろう。
醍醐の花見の際に使われたという茶室・純浄観があり「昔はここで桜が見れたのか?」と思ってしまうが、当時もっと上の方にあったものを後にここへ移築したということで納得。(常識だったか?)


▲霊宝館横のメイン枝垂れ桜 大人気!

▲三宝院の枝垂れ桜(これでも病気療養中)

▲憲深林苑 お抹茶は数10分待ちでした(^^;)

▲五重塔と枝垂れ桜(病気療養中)

混雑期のため三宝院出口は通常より奥の位置になっていて、新庭園の憲深林苑前に出るようになっていた。以前来た時はただの事務的建物と芝生の庭だけで「つまらん」と思ったのだが、庭は実は数種類の桜で囲まれていてここでゆったりとお茶会が出来るようになっていたのだ。びっくり。抹茶など販売されていたが、あまりの混雑でお茶を点てるのが追いつかないようだ。

仁王門をくぐって五重塔へ向かう。仁王門下もあいかわらずの行列だが横をスルスルッと抜けさせて頂き素早く進むと突然そこはもう山寺の雰囲気。五重塔のもとではまた凄い勢いで撮影しまくる人々に圧倒された。後方から人の頭越しに写してみたが結構うまく撮れたかも。ここの枝垂れは遠目ではきれいだが近寄ってみると花付きがまばらでスカスカ気味だった。じっくり療養して再生してくれればいいのだけど。

この大混雑の中、全く時間をロスすることなくするすると歩き通せたのは運が良かった。十分に桜も見られたし時間も若干余ったので、初めの予定通り東寺へ行ってみることにした。移動に手間取ると帰りの新幹線がヤバイことになるので、速攻で地下鉄・JRと乗り継ぎ京都駅からタクシーを使ってしまう。するとまたまた運良くあっという間に到着。



 ●東寺

平安遷都後の延暦15年(796)国家鎮護のため羅城門の東西に築かれた官寺の一つ。造営途中で嵯峨天皇から空海に与えられ、真言密教の根本道場となり正式な寺号を教王護国寺と改められた。
数度の天災や戦禍により焼失、現在の伽藍の大半は江戸初期までの再建だが、一直線に並んだ伽藍配置は創建当時の形式をとどめている。
日本の古塔としては最高の五重塔は徳川家光の再建。講堂内には空海の密教の教えを表現した立体曼陀羅(21体の仏像)が安置されている。

帰りの新幹線の時間が迫っていてじっくり拝観できないが、桜と立体曼陀羅五重塔が見られれば良し!というわけでサクサクと拝観料を払い境内へ。
10数年ぶりの東寺なので感慨深い…けれど妙に広い空間はのんびりお花見昼寝モード。拝観受付近辺からはなんとか塔をバックに紅枝垂れ桜の写真が撮れたが満開にはもう少しかも。ソメイヨシノはそれなりに見頃で、その中に五重塔が高々とそびえ立っていた。とにかく近寄ってみるとその堂々たる高さに改めて圧倒される。こんなものを昔の日本人が作れたというのがいまだに信じがたい。

待望の講堂に入るとそこは妖しげな立体曼陀羅、密教浄土の世界。荒木経惟氏がエロチックの極みと賞賛していたのでどうしてもそちら系に見えてしまう。男前の帝釈天も良いけれどやはり奇々怪々でゴージャスないでたちの五大明王に惚れたぞ。今回の旅の収穫はこの五大明王、特に大威徳明王かも。
講堂では曼陀羅図のハガキやポスターも販売していた。ポスターが欲しかったのだが持ち帰りが難しいし、【弘法大師入唐1200年記念「空海と高野山」展】で多分買えるだろうと思い断念。しかし東京国立博物館での開催は一年後だと後日聞いて泣きそうになったが。

金堂のご本尊はささっと拝観して、桜と塔の姿に煩悩しているうち残り時間わずかになり東寺を出た。
北大門を出てすぐのところに塔頭の観智院がある。今年は宮本武蔵(NHK大河)関連で特別公開中なので話のタネに行くつもりだったのだが、急遽その前に醍醐寺を組み入れてしまったので時間切れ。門の写真だけ撮ってみた。客殿の奥には武蔵筆の「鷲の図」や竹林図があり、ちょっとした庭園もあるらしい。できれば梅の時期に訪れてみたい塔頭だが、来年は公開されないのだろうか。


以上で天候に振り回された花見上洛は終わり。ソメイヨシノ見頃は前年より10日遅れ、平年より数日早い程度、というかんじだった。これで悪天候下の散策ももう怖くないぞというところまで耐えた旅だったが、やはり雨はもうこりごりだと痛感しつつ京都をあとにした。

〈2003年春の項終了。2003年秋につづく〉


▲五重塔と桜

▲講堂

▲金堂

▲塔頭・観智院

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