箱庭的世界 >> 京都煩悩紀行 >> 極寒の春雨に煙る桜・第1日目-2

 ●大覚寺

貞観18年(876)淳和天皇皇后の正子内親王が皇子の恒寂法親王を開山として、父嵯峨天皇の離宮であった嵯峨院を寺に改めた。その後、後嵯峨・亀山・後宇多法皇がここで院政を行ったことから嵯峨御所と呼ばれる。この大覚寺統が南朝へ受け継がれ北朝方と対立、明徳3年(1392年)にはここで南北朝統一の講和会議が行われた。応仁の乱などで荒廃したが再興され伽藍が整えられた。

大覚寺に到着し、あまりの寒さと雨のためヘナヘナと拝観受付に入ったのだが、式台玄関の壁に描かれた狩野永徳金碧画のゴージャスさに目が覚めた。他の拝観者のかた曰く「写真撮影OKだそうです」とのこと。本当か!?

外観写真があまりにも淋しいので
こんなのを貼ってみましたが。→

次の間、宸殿にも永徳の養子・狩野山楽の襖絵がある。大覚寺に100点以上ある障壁画の大半を狩野山楽と渡辺始興が手がけているそうである。江戸に拠点を移した狩野派本体に対し、山楽は京に残って京狩野を形成し活動した。幕府御用絵師になれなかったことは彼らにとって遺憾だったのだろうか、それともへのかっぱだったのか…。
渡辺始興という絵師はよく知らないが、障子腰板の「野兎図」は幼い門主を慰めるために描いたものだという。それにしては子どもが泣き出しかねない妙なリアルさがあるがそれもまた可愛い。売店で野兎図の一筆箋などが販売されていた(買わなかったけど)。

▲多宝塔

続いて御影堂五大堂と回り、五大堂舞台から大沢池を一望して景観を楽しむ・・・はずが、雨と寒さで休憩どころではないではないの(号泣)。桜も地味な7分咲き程度で、あたり一面は墨絵のような世界。しかたなく収蔵庫で開催されていた春期特別公開の名宝展を見に行った。

大覚寺は密教特有のほとけ「五大明王」を本尊とする。そういえば嵯峨院時代に弘法大師と嵯峨天皇は密接な関係にあった。大覚寺が密教系だったとは知らなかった(^^;) さらにそういえば、NHK人間講座「空海〜平安のマルチ文化人」で頼富本宏先生が宸殿と勅使門前の紅枝垂れ桜をバックに講義なさっていたっけ。

名宝展では平安時代造立の五大明王などが公開されていた。明王はそれぞれ複雑怪奇な姿をしており特に牛にまたがる大威徳明王の奇々怪々さには惹かれるものがある。他の小さな仏像の解説に「鎌倉後期の作らしく、裳裾の動きや腰のひねりが大袈裟である」という文があり爆笑しそうになった。

堂内を出て多宝塔まで歩こうとすると、本降りの雨の中に人は誰もおらず桜も全く見頃前。バス時刻までまだ間があったのでここはヤケクソで歩いてみることにした。嵯峨天皇時代の貴重な遺構・大沢池のほとりの雰囲気はいいのだが、泥攻めで靴が絶命寸前。次回はぜひ満開の桜を快晴のもとで見たいものです(T-T)
大覚寺前バス停から市バスに乗り、再び先程の花園駅でJRに乗り換え地下鉄を乗り継いでホテルへ戻った。(渋滞回避のため極力電車を利用)

この日、夜の部はまたまた恒例の京都在住の歴史ファン(NHK大河「北条時宗」ファンとも言う)、北斗さん・芭雨さんとのミニミニオフ会があるのである。その前にまず今年の目玉、生涯一度の御結縁「清水寺奥之院御本尊御開帳特別拝観」! 残念ながら都合で参加できない北斗さんとはあとで宴の場で待ち合わせるとして、まず芭雨さんとの待ち合わせ場所、五条坂バス停へは五条駅から京都バスで向かった。こんな日でも渋滞するのかよ(T-T)



 ●清水寺

(清水寺の歴史は2002年春の項にあります)

雨の夜間拝観、さすがに昨年のような超ラッシュではないものの御本尊御開帳ということで結構な人数の人が訪れていた。
まず三重塔北側にある随求堂胎内めぐりへ。(芭雨さん、付き合って頂いてありがとうございました) 地下の真っ暗な空間をご本尊・大随求菩薩の胎内に見立てて、大数珠を命綱がわりに(!)一巡りする。笑ってしまうほどの正真正銘の闇だ。そういえば真っ暗闇を体験するのは滅多にないことかも。神馬堂の焼き餅みたいな岩で折り返し、再び光の中へと戻れば心身は新生され悟りさえも開けるやもしれないのである!

あとは順路通り進んだが、昨年と違って何故か舞台が立ち入り禁止、地主神社も拝観時間終了で残念! この日は北条時宗命日で、鎌倉・極楽寺の時宗手植え桜を思い起こす「地主桜」をぜひ愛でようと思っていたのに。この雨といい「時宗様の祟りか?」などと嘆いたが、のちにやはり「命日には鎌倉へ来い」とのお告げであろうという結論に達した。
奥之院ご開帳は243年ぶりとのこと。何かいわれがあってのことなのだろうか? 本堂内々陣で荘厳(お飾り)されたご本尊・三面千手観音ほかありとあらゆる姿の仏様が、えもいわれぬ妖しく厳粛な雰囲気を醸し出していた。小ぶりで魅力的な像ばかりなので思わず一体連れて帰りたくなるほどだ。ご本尊に繋がる縄の端を掴めばご縁が結ばれるそうだが、つい思い切り引っぱりたくなってしまうのは俗人の性か…

清水を出て、宴の場である御幸町御池のアスピリンエイジへ向かうと、すでに仕事帰りの北斗さんが首を長くしてお待ちだった。

●アスピリンエイジ
無国籍風広間なのだが何故か落ち着ける不思議な店で、料理も無国籍風。お客の年齢層に合わせた料理を出してくれるそうである。ちなみに、うちらのメニューは海鮮ピリ辛系で意外に若者っぽいものになっていた。これは喜んでいいのかもしれない(^^;)

上洛のたびに毎度お付き合い頂きお二人には感謝しております。ということで、店からは徒歩でホテルへ帰還してこの日は終了。

〈2日目につづく〉


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