箱庭的世界 >> 京都単独煩悩紀行 >> 冷夏にも秋の暑さにも負けず・第1日目-2

 ●清涼寺

嵯峨天皇の皇子・源融(みなもとのとおる)の山荘跡である棲霞寺が起こり。東大寺の僧・ちょう然が中国で制作し持ち帰った釈迦如来像を長和5年(1016)ちょう然の弟子・盛算が棲霞寺の釈迦堂に安置し、清涼寺として完成した。念仏道場として栄えたが焼失し徳川綱吉・桂昌院らにより再興された。広い境内には嵯峨大念仏狂言が演じられる狂言堂や法然上人像など多くの堂塔があり、春秋には阿弥陀三尊像釈迦如来像体内納入品などの寺宝が公開される。

二尊院から清涼寺近辺の紅葉名所として他に厭離庵や宝筺院があるが、この時期では紅葉はまだ早いらしい。実は拝観したことのない厭離庵をちらっとでも覗いてきたかったのだが、地図を読み違えて裏口に行ってしまい結局素通りしたのだった(T-T) いつかはぜひ紅葉の絨毯を愛でに伺いたいものです。

嵯峨釈迦堂の名で親しまれる清涼寺だが、今まではのどかな雰囲気の広い境内をうろつくだけだったので今回は日が落ちるまで拝観することにしてまず本堂に行く。受付の僧侶のかたが拝観順路を丁寧に説明して下さったのでその通りに進んだ。
清涼寺式と呼ばれる本尊の釈迦如来像は、インドから中国へ伝来した像をチョウ然上人が模刻させ日本へ持ち帰ったもので、生身のお釈迦様と言われ日本三如来の一つとして広く信仰されているそうである。源平争乱の頃、この像が愛想を尽かしてインドへ帰ってしまう(!)という噂が立ち「今のうちに拝もう」と参拝者が押し寄せたとか。さすが生身と言われるだけあります。

本堂の裏へ回ると放生池と弁天堂があり、その付近には待望の紅葉が!(涙) 今にして思えば慎ましやかな紅葉なのだが、それでも方丈へ向かう回廊からの眺めはこの日一番の色付きだった。方丈庭園小堀遠州作と言われるにしてはいまひとつキレが無い(?)小さな庭だが、ここにも彩り的に紅葉があり充分満足。嵯峨野とは思えないほど人も少なくゆっくりと拝観できた。

次に霊宝館の秋期特別公開へ向かう。意外に(失礼)興味深く面白く拝観させて頂くことができた。まず光源氏のモデルと言われる源融が自分の顔に似せて作らせたという凛々しい阿弥陀三尊像がある。この阿弥陀三尊が清涼寺の前身・棲霞寺の旧本尊と知って納得した。他に、いつもより強烈な顔の象に乗った普賢菩薩像や、阪神大震災による倒壊時の痛ましい写真付き釈迦十代弟子像(無事復旧)などインパクトある展示品が並ぶ。
中でも、本尊の釈迦如来像の体内から発見されたという数多くの釈迦如来像体内納入品にはびっくり。お手玉のような絹製の「五臓六腑」は世界最古の内蔵模型として極めて貴重なものだそうだ。やはり実際に腑分けした人体を参考に作られたのだろうか…

霊宝館を出るとだいぶ薄暗くなってきてしまっていた。嵐山・嵯峨野では日があっという間に山の向こうに消えるので、良い写真を撮りたいかたは午後3時までが勝負である。混雑を避けるなら朝一番がお勧め(カメラ好きの皆様には常識でしたね)。
あとは境内の豊臣秀頼首塚(昭和55年、大阪城三の丸跡地の発掘現場から出土した首!? 本物?)や多宝塔横の源融墓所などを見て寺を出た。源融墓所の右側にある嵯峨天皇宝塔と開山のちょう然上人墓所、仁王門そばの法然上人像は見落としてしまった。紅葉ばかりに気をとられて、いつも旅行後になってから細かい史跡の存在に気付くのだがなんとかならないものだろうか。>自分


▲放生池
戦争犠牲者の霊を弔う忠霊塔などがある


▲弁天堂

▲ちょっと地味だけど方丈庭園

▲多宝塔
右奥に源融の墓があるのですが…
写ってるかな?(^^;)

清涼寺から近い嵯峨釈迦堂前バス停から帰ることにした。大混雑必至の嵐山駅に出ずにJR花園駅近くのバス停まで乗ろうと考えたのだが、甘かった…。延々渋滞が続き、予定所要時間を大幅にオーバーして花園駅に到着。焦りつつJRと地下鉄を乗り継いでホテルへ向かい、チェックインを済ませて速攻で夜の宴の場へ向かった。遅刻は免れた。



 がんこ高瀬川二条苑店


高瀬川を開削した豪商・角倉了以の邸宅、のちに山縣有朋の別荘・第二無隣庵としても使用された邸宅を「がんこ寿司」が京料理店とした。庭園は小川治兵衛作の高瀬川源流庭苑で、高瀬川の流れはここから木屋町通りをくぐって再び姿を現す。
高瀬川御膳、すし懐石、特別懐石などの他一品料理もある。

中京区木屋町通二条下ル東生洲町 詳細はHPで

(↑この碑に「第二無鄰菴」と刻んであるのですが見えませんね)
付近には幕末関連の史跡なども多くなかなか面白いロケーションで興味津々。早めに店の前に着いてアヤシイ人のように写真を撮りまくっているうちに北斗さん&芭雨さんが到着して宴は始まった。

庭園は自由に散策できるそうなので、明治情緒たっぷりな館のテーブル席で見た目も華やかな懐石を頂いたあと庭へ降りてみた。灯籠マニアの有朋さんが集めたという巨大灯籠が広い庭のあちこちに置かれ独特の雰囲気をかもし出している。「第二無鄰菴」というネーミングが心を揺さぶるし、馬鹿でかい灯籠は迫力たっぷり! 大変面白いお庭だったので機会があったらまたぜひ昼間に訪れてみたいものです。


小雨の中しばらく庭を見たあと店を出て、高瀬川一の舟入佐久間象山・大村益次郎遭難の地碑(高瀬川対岸なので夜は暗くて見えない!)、島津創業記念資料館、武市瑞山寓居跡、謎の(?)ちりめん洋服発祥の地碑などを見つつ四条木屋町まで歩いた。そして、青い照明が照らすレトロ調の妖しげな喫茶店・ソワレでお茶して宴はおしまい。翌朝は早いのでホテルに戻ってすぐ寝ました。

〈2日目につづく〉


▲夜の高瀬川源流庭園
▲巨大灯籠!
中に人が立てます(^^;)

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